相模原市立相原中学校 (神奈川県)

課題
  • 校務でICTを有効活用したい
  • セキュリティを強化したい
  • 教職員の負担を軽減したい
導入製品・サービス
    • Hardlockey
自治体規模
100校以上
プロフィール

相模原市立相原中学校
〒229-1103 神奈川県相模原市橋本8-12-1
http://www.sagamihara-aihara-j.ed.jp/

印刷用資料
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取材日
2008年

昭和50年代から「特色ある学校作り」に取り組み、様々な教育課題の解決を目指した教育研究事業を展開している神奈川県相模原市。そのひとつに「個を活かし、個に応じた学習指導の改善」を図る「フロンティアスクール推進事業」があります。同事業は相模原市教育委員会を中心に昭和61年にスタート。学校へのPC導入に着手し、平成17年度から3年計画で始まった取り組みでは、研究委託校に選ばれた相原中学校の教職員全員に一人一台のPCが配置されました。今回はその活用風景を、主に“校務の情報化”の観点からレポートします。

独自開発のシステムも積極活用する相原中学校

相模原市立相原中学校 校長 河内 芳則氏
▲相模原市立相原中学校 校長 河内 芳則氏

「教育現場へいかにICTを馴染ませていくか。私たちは“子どもたちの情報活用能力を育成”“各教科の授業での活用”“校務の効率化”という3ポイントに研究テーマを設け、効果的なPCやネットワークの活用を目指しました」。そう今回の取り組みを説明する、相原中学校校長の河内氏。中でも“校務の効率化”は「教務や総務、学籍管理、保健など、多種多様な業務負担を軽減することで、授業や生徒指導、部活など、先生たちが生徒とふれ合うことに割り当てる時間を増やす意味でも重要なテーマでした」と話します。


相模原市立相原中学校 2学年主任 総括教諭 佐藤 修氏
▲相模原市立相原中学校 2学年主任 総括教諭 佐藤 修氏

相原中学校では平成17年に研究委託校になったことで、職員全員に専用PCと職員室内を含む校内LANが敷設されました。「それ以前は職員室に4台のPCしかなく、普段から使用の順番待ちが当たり前で、学期末や学年末には目も当てられない状況でした」と当時を振り返るのは、同校総括教諭でシステム担当の佐藤氏。やむを得ず個人のPCを持ち込む先生も現れ、セキュリティの観点から悩んでいたそうです。重ねて、同校では平成17年より独自の学習成績システムを稼動させており、その活用抜きに校務は進められない状況でもありました。「ICTに明るい本校の先生がAccessで自作したミドルウェアなのですが、生徒一人ひとりの成績や学習記録、進路データなどを3年間通じて一括管理する“成績くん”を運用していました」(佐藤氏)。

校務の効率化を目指して自前のシステムを構築・運用していたにも関わらず、クライアント環境のハードウェアが揃っていなかった--そんな同校にとって、職員一人に一台のPC環境と校内LANの整備は、待ちに待った好機となりました。


効率化とセキュリティの両立に簡単&便利なハードロッキーは必須

職員一人ひとりに貸与されるUSB認証キーのハードロッキー。セキュリティの仕組みを知らなくても使え、うっかりミスも未然にシャットアウト
▲職員一人ひとりに貸与されるUSB認証キーのハードロッキー。
 セキュリティの仕組みを知らなくても使え、
 うっかりミスも未然にシャットアウト

ICTインフラが整ったことで、同校の職員が使うPCで教材研究などに必要な情報をインターネット検索することが可能になりました。また、JMCエデュケーションズも開発に携わった相模原市学校グループウエア「e-ネットSAGAMI」により、市内全小中学校や教育委員会とも結ばれ、スムーズな連携と迅速な情報伝達が図られました。加えて、「e-ネットSAGAMI」で校務を行うにあたり、学校の日課・予定・連絡などの情報共有を進める“教務くん”の自作・運用も開始しています。「しかし、校務で使うとなると生徒の個人情報も取り扱います。そこで、校務に必要なデータは校務サーバで一元管理し、職員用PCそれぞれに専用のUSB認証キーのハードロッキーを挿さなければデータにアクセスできないようにして、学習利用とは別系統にすることでセキュリティ確保に努めました」(佐藤氏)。


「e-ネットSAGAMI」上で配信中の同校オリジナルのICTリテラシー向上ツール。週に一回程度システム担当の佐藤氏が作成している。プリンタの活用、ファイルの取り扱い方法など、先生にとってはなくてはならない情報源だ
▲「e-ネットSAGAMI」上で配信中の
  同校オリジナルのICTリテラシー向上ツール。
  週に一回程度システム担当の佐藤氏が作成している。
  プリンタの活用、ファイルの取り扱い方法など、
  先生にとってはなくてはならない情報源だ。

同校では、職員は毎朝全員がPCを起動させ、日程管理や連絡などを確認しています。その際、“教務くん”と「e-ネットSAGAMI」を立ち上げますが、そこから校務を始めるには、一人ひとりに割り当てられたハードロッキーがなければ、校務サーバにログインできない仕掛けとなっているのです。

この、認証キーを抜き挿しするという簡単で意識しやすい動作のみで、外部ネットワーク接続から遮断されるハードロッキーの仕組みについて「情報漏えいはもちろん、ハッキングやウイルスといった悪意ある外部からのアクセスも未然に防げます。ICTに明るくない職員にとっても負担がありません。極端な話、自分専用のキーを挿さなければ、自分のPCで仕事ができないのですから。情報漏えいなどの事故が起きてしまった場合の対応が大変になるのは想像に難くありません。事故が起きないよう、未然に対策を講じる取り組みの方が、はるかに労が少なく済みます。その点でも、ハードロッキーは心強い存在ですね」と佐藤氏は高いセキュリティと運用負担の少なさの両立を評します。


相模原市の基本方針に則ったセキュリティポリシーを校外まで適用

さらに、同校では相模原市が定める同市立小中学校における情報セキュリティ基本方針に基づいて、セキュリティポリシーを策定。校内LAN以外の環境にあるPCで作業する際「ハードロッキーポータブル」という専用USBメモリを活用し、一部データの持ち出しを認めて運用しています。「ハードロッキーポータブル」は、メモリ内のデータをすべて暗号化するだけでなく、データをコピーしようとした時に警告するなどの機能でセキュリティを確保しています。やむをえず自宅にデータを持ち帰って作業する先生たちのセキュリティ環境にも念入りに配慮しています。


目標は生徒と先生の交流時間確保、校務の効率化に追求の余地あり

ハードロッキーが挿さらないと校務サーバにアクセスすることができない。もちろん、自分のPC専用
▲ ハードロッキーが挿さらないと校務サーバに
  アクセスすることができない。もちろん、自分のPC専用。

今回のICTインフラ整備により、同校の“校務の効率化”はどう進んだのでしょう。「従来、職員に配布していた文書などを校内メールで配信するようになり、ペーパーレス化の促進につながりました。また、校務分掌ごとの各種資料をサーバ管理することで、年度終了時の引継ぎが格段と簡便になりました。それぞれの係を任された先生たちも、必要な資料を呼び出して都度修正・更新するなど、電子情報の共有化が図られ、校務の標準化と透明性の確保にも寄与しています」(河内氏)。

職員一人に一台のPC環境と校内LANの整備に、独自の校務システムを統合させ、校内で使われる情報の一元管理による可視化で“校務の効率化”を加速させた同校。「サーバ内の階層化や独自システムとの統合など、JMCエデュケーションズが包括的な視点で、かつ先生の使い勝手を優先してアドバイスしてくれたので、非常にスムーズに移行することができた」(佐藤氏)と話します。


今後は「より校務の効率化を進め、先生が生徒と接する時間を増やせるようにしていきたい」という河内氏を筆頭に、さらなる整備や業務フローの改善などに着手していく予定があるそう。また同校独自のシラバスを作成し、生徒や保護者に提示することで学習意欲を喚起させる仕組みについても、今回のICT基盤整備を受け学籍管理業務がスムーズに進められるようになったことが大きく寄与しました。

生徒一人ひとりの主体的な学びの育成を目指した同校の様々な取り組みを支えるICT環境。そのひとつである、先生たちのICTリテラシーの有無に関わらず、簡便に使えるセキュリティツールのハードロッキーが、これからも同校の運用を支える重責を担っていくことでしょう。