Home > 導入事例 > 相模原市立総合学習センター
さまざまな教育課題の解決を目指す、神奈川県相模原市。1970年代から「特色ある学校づくり」に取り組み、1987年には全国に先駆け全校にコンピューター室を設置しました。2001年には教育委員会内に「総合学習センター」を設立し、市民の生涯学習活動を支援するとともに、学校教育・社会教育の向上に必要な調査・研究・研修を総合的に行ってきました。現在は、学校のICTインフラ整備、児童や生徒の情報教育にも注力しています。今回は、いわゆる「ネットいじめ」に関する取り組みについて、相模原市立総合学習センター学習情報班の岡部竜生指導主事と、相模原市立清新中学校技術科の須藤雄紀先生に、お話を伺いました。
「私も当時は教員になったばかりの頃で、勤めていた中学校でも大きな問題になっていました。しかし、学校裏サイトが複数存在していたり、パソコンからアクセスできないようになっていたり、学校側で常時監視して対策を施すには相当壁が高いと感じていました。」と須藤先生も当時の状況を話します。
そこで、相模原市立総合学習センターでは対応策について協議。「市内に109校の小中学校を抱えるスケールで、1校ごとにきめ細やかな対応をするには、専門の常駐員による調査活動を行っていくほかにない」という判断から、「学校ネットパトロール事業」を開始することになりました。
インターネットに関わる子供たちのトラブルにいち早く対策を施し、その後も継続的に対策を施している同センター。では、最近の事情はどうなっているのでしょうか。 「学校ネットパトロール事業などの対策をしているものの、不適切な書き込みは、すべてなくなっているわけではありません。学校裏サイトは激減したものの、ここ数年はSNS上で展開されるようになっています。それに合わせ『学校ネットパトロール』の内容も、Twitterなど主要なSNSを中心に子供たちによる不適切な書き込みを検索・分析することに変わり、またそれを取りまとめて該当校へ報告するようになりました。」と岡部指導主事は最新状況を説明してくれました。 「ただ…」と少し顔を曇らせた須藤先生は、「今はLINEが主流で、少々弱っていますね。クローズドのコミュニティでネットパトロールの手が届かないからです。」と学校が直面している課題を明かします。「ここに関しては、先に岡部さんが触れたように、学校や地域、家庭ぐるみでインターネットとのつきあい方をどうするか、よく話し合ってコンセンサスを得ていくことなどのアプローチを強化していかねばなりませんね。」と須藤先生は新たな課題に対する取り組みも検討しています。
2014年7月には、神奈川県・横浜市・川崎市・相模原市が共同で、県内の小・中・高等学校の児童生徒を対象とした「子どもたちのネット利用に係る実態調査」を初めて実施。10月にその結果報告が公表されました。96.6%の子供がインターネットに接続可能な端末を所持し、利用のルールを決めていない47.9%の子供に、長時間ネット利用の傾向があることが判明しました。フィルタリングの利用率は58.8%にとどまったことも明らかになっています。
「この結果は、保護者への意識啓発をもっと進めなければならないことを示しています。デジタルネイティブと呼ばれる子供たちが、保護者の想像以上にインターネットに接していることを理解してもらい、学校に対しても、もっと指導していきます。そして、『学校ネットパトロール』を抑止力として、さらに活用していき、今後もさらなる施策を練って実践していきます。」と語る岡部指導主事。同センターでは今後もインターネットに関わる子供たちへの対策をより一層進めようとしています。